プレイス・ブランディングとは?地域を活性化させる実践手法をご紹介

自分の暮らす地域を活性化する取り組みをしたいけれど、何から始めていいかわからず悩んでいる人はいませんか?
この記事では、そんな人に知ってほしいプレイス・ブランディングの手法について詳しく解説します。
プレイス・ブランディングとは?

プレイス・ブランディングとは、都市・地域・国・観光地などの特定の場所が持つ「価値と資源を統合」し、民間企業・行政・市民などが一体となって独自ブランディングを確立していく手法です。
日本では、株式会社電通が海外で生まれたプレイス・ブランディング理論に地理学の知見を取り入れて課題を解決する手法、「プレイス・ブランディング・メソッド」が有名です。
日本マーケティング学会にはプレイス・ブランディング学会があり、2019年4月〜2024年3月まで「マーケティング・リサーチプロジェクト」の活動をすることとなっています。
プロジェクトではプレイス・ブランディングに関わる研究の体系化を通して、コロナ禍後の日本のあり方を考えるとしています。
プレイス・ブランディングは海外で生まれた理論ですが、日本に合わせて形を変えさらに発展していくことが期待されているのです。
プレイス・ブランディングの目的と、プレイス・ブランディングを理解するうえで知っておきたい概念「センス・オブ・プレイス」についてご紹介します。
参考:電通報「地域創生の鍵を握る「プレイス・ブランディング」とはなんぞや?」
参考:日本マーケティング学会「マーケティング・リサーチプロジェクト プレイス・ブランディング学会」
プレイス・ブランディングの目的
プレイス・ブランディングの目的は、場所が持つ経済的価値と精神的価値の創出の両立です。
プレイス・ブランディングでは、特定の場所にさまざまな人たちが関わりあいながら「コンテンツやコミュニケーションが生まれる仕組み」を作り出します。
魅力的なプレイス(場所)に豊かなストーリーや価値観が生まれる、認知度と関心度の高まりがさらに人の動きを生みます。この循環が進むと「場所が持つ経済的・精神的な価値が少しずつ向上していく」仕組みです。
参考:dentsu abic project「プレイス・ブランディングとは」
センス・オブ・プレイスとは
センス・オブ・プレイスとは「特定の場所が持つ独自の雰囲気や価値、その場所が人々に与える意味や感情」を指す概念です。
場所についての感覚・情動・記憶など、さまざまな要素が含まれます。単なる観光地や地理的な場所ではなく「その場所が持つ文化・歴史・風土・人々の暮らしなどが生み出す”その場所ならではの特別な雰囲気や体験”」がセンス・オブ・プレイスです。
プレイス・ブランディングでは人間を主役として場所をとらえる時のキーワードとして用いられます。
参考:dentsu abic project「プレイス・ブランディングとは」
参考:電通報「地域創生の鍵を握る「プレイス・ブランディング」とはなんぞや?」
プレイス・ブランディングを実現するための手順

プレイス・ブランディングを実現するための手順を4STEPにわけてご紹介します。
【Step1】場所の単位を設定する
最初に場所の単位を設定します。行政単位だけで考えるのではなくセンス・オブ・プレイスを意識し、柔軟で有意義な単位を設定するのがおすすめです。
【Step2】場所の意味を探索する
単位に対し、定量調査、定性調査、SNS分析などのマーケティングノウハウに基づく複数の手法を組み合わせて人々にとってのセンス・オブ・プレイスを調べます。
マインドマップやイメージ・マイニング・マップなどを使うと、イメージが共有しやすくなります。
【Step3】場所の意味を作る
センス・オブ・プレイスから、どのように場所の意味づけをするのかを考えます。
目指す方向性を言葉と画像によって可視化し、場所の新たな意味を作成します。
【Step4】場所の意味を具現化する
住民、行政、企業などの関係者が連携してセンス・オブ・プレイスを共有し、そこを起点としてさまざまなコンテンツを生み出す段階です。
新たな場所の意味は、さらに人の動きを大きくしていく
参考:dentsu abic project「プレイス・ブランディングのしくみ」参考:電通報「プレイス・ブランディングの成功の秘訣『ディレクション力』」
プレイス・ブランディングの事例

2021年7月の「Cities」で発表された「市場性のないものをマーケティングする:脱工業化の中規模の町にブランディングを配置」という論文では、プレイス・ブランディングにおける試行錯誤の事例を紹介しています。
舞台はオランダのHeerlenという街で、元々農業地帯だったのが炭鉱が発見されて発展した街でした。しかし近隣で天然ガスが発掘されたことで炭鉱が閉鎖され、街も衰えていきます。
暗いイメージを一掃するべく2015年にUrban Heerlen(都会のHeerlen)キャンペーンを開始しましたが、このキャンペーンは住民のすべてが喜んで受け入れるものではありませんでした。アンケート調査の結果から、住民の中には「都会のHeerlen」という表現自体に違和感を抱く人もいたことがわかっています。
違和感を抱く人たちは「普通の都市」「大きな村」といった表現の方がよいと提案をしたり、地元の名物のカーニバルパレードで「都市的ではない」と書かれた風刺的な看板を持ってアピールしたりしました。
これらの議論を経て、Urban Heerlenキャンペーンは文化的な再生には成功したものの、一部の住民に疎外感をもたらす結果となりました。
プレイス・ブランディングにおけるセンス・オブ・プレイスの共有の難しさがわかる事例だと言えるでしょう。
参考:Science Direct「市場性のないものをマーケティングする:脱工業化の中規模の町にブランディングを配置」
プレイス・ブランディングで地域活性化を目指すならemo planningにご相談ください

プレイス・ブランディングの手法を用いた地域活性化に取り組みたい方は、emo planningにご相談ください。
emo planningでは初回のヒアリングで1~2時間程度と時間をかけ、ブランディングで目指すものや目的を詳しくお伺いしています。
特にプレイス・ブランディングを行う場合、センス・オブ・プレイスを共有することが大切なため、このように長い時間をかけて行う必要があります。
ブランディングを行い、その後も大切にブランドイメージを育成し続けるための伴走者を探している方は次のページもご覧ください。
ブランドを確立するブランディング | 群馬県玉村町の合同会社emo planning
まとめ
プレイス・ブランディングとは、特定の場所が持つ「価値と資源を統合し、民間企業、行政、市民が一体となって持続的に場所・地域をブランディングする手法」です。
この記事も参考にして、ぜひプレイス・ブランディングに積極的に取り組んでみてください。